ライナー狩りに行こうぜ!

■はじめに
この日記は先日phi氏にライナーの話をしたのを切っ掛けに「たまにはちゃんと体制整えた文章でも書いてみるか」と思って書いてみた「ライナーを使って乗り鉄をする」ことに関しての考察をまとめたものです。
忙しい方、興味のない方にとっては読むだけ時間の無駄ですので回れ右を推奨いたします。
■そもそも、「ライナー」とは?
・要するに、お金で確実な着席を買える列車です。」
東海道線横須賀線総武快速線中央快速線高崎線東北本線(宇都宮線)でそこそこの距離を通勤で使ってる人はご存知かも知れませんが、これらの路線には平日ラッシュ時に「ライナー」って言われる列車があります。
ライナーは多くが特急車両(正確には全座席クロスシートの車両)が使われて、その座席の数に合わせて「ライナー券」ってのが発売されます。
そして、ライナーに乗るためにはこの「ライナー券」というものが必要になります。ライナー券の出回ってる枚数は座席の数と等しいのでライナー券を持ってる人は絶対座れる仕組みになっています。
原則として普通席のライナー券は500円。グリーン車に乗るには700円の追加投資が必要です。でもこれだけのお金を出せばラッシュアワーに絶対特急のしっかりした椅子に座って帰れるというのがライナーの美点でしょう。
尚、たまに特急券を車内で買うつもりで特急券を持たず特急列車に乗り込む人がいますが、ライナーでは、電車に乗る時にライナー券をチェックして、この時点でライナー券を持っていない人は問答無用で追い返してますので、このような人が原因になるトラブルは起こりません。

■念のため、おさらい
・B特急料金とA特急料金の違いについて
JR東日本の特急料金システムには「B特急料金」と「A特急料金」の2つのパターンがあり、実際に乗車する列車や区間でどちらかが適用されます。具体的には「首都圏の特定の区間の内部だけ乗る場合でかつ、特定の列車(スーパービュー踊り子成田エクスプレス)を利用しない」場合にB特急料金が適用され、それ以外の場合はA特急料金が適用されます。
値段はA特急料金の方が大体300円位高額です。遠距離乗車する場合はA特急料金でもB特急料金でもあまり差は感じられませんが、近距離で自由席に乗る場合は結構ばかにならない差額となります。

グリーン車について
「グリーン料金」というエキストラチャージを支払うことで、グリーン車と呼ばれる広々とした座席の車両に乗れることは皆さんご存知かと思います。
ですが、東海道線横須賀線湘南新宿ライン総武快速線宇都宮線高崎線などの普通、快速列車で連結されているグリーン車と特急列車で連結されているグリーン車と特急列車に連結されているグリーン車では大分勝手が違います。
まず、特急列車のグリーン車では所定の特急料金に加えてグリーン料金を支払うことによって、より良い座席に座ることができます。グリーン車への投資は「良い座席」のためだけへの投資となります。
一方で、普通列車グリーン車は確かに座席は普通車に比べると良いものを使っていますが、特急列車の普通席と同じかそれよりちょっと良い程度の座席を使用していて、特急列車のグリーン席に比べると明らかに見劣りしています。また、特急と違って自由席なのでラッシュのピーク時は座れない危険性があります。(尚、座れなかった場合はアテンダントにその旨を伝えれば払い戻してもらえる。)このように特急と比べると見劣りする点はありますが、安価なのでより気軽にグリーン車に乗ることができます。

■「乗り鉄」の立場でライナーに乗るメリット
・特急車両を気軽に楽しめます」
グリーン車も比較的安価に体験できます
「ライナー」は定義の上では快速扱いとなります。従ってライナー券を持っていれば乗車券に青春18きっぷを用いることができたり、長距離乗る場合は普通に特急乗る場合と比べて明らかに安く特急を楽しめたりします。

ライナーは列車によっては、普通の運行ではなかなか気軽に乗れない急行能登(最終間近に上野を発車する夜行列車)とか、スーパービュー踊り子(まともに乗るとA特急料金で高い上、人気列車なので自由席でも着席困難な可能性あり、横浜→熱海ノンストップ)、183系(定期列車からはほぼ撤退。臨時「ムーンライトながら」等で使われるのみ)とかに比較的気軽に乗ることができます。

また、ライナーではグリーン車を比較的気軽に体験することができます。
グリーン車に乗る場合、ライナーでは乗車券とグリーン券(普通列車用のグリーン券並みの安価)で乗れますが、昼特急でグリーン車に乗る場合乗車券と特急券(指定席用?)と特急グリーン券が必要なため、かなり高額になってしまいます。グリーン車を体験するといった用途にはライナーは非常に向いています。
また、高崎線及び宇都宮線のライナーはグリーン車を無料で開放しています。従って、これらの列車では乗車券+ライナー券で特急グリーン車に乗ることができます。
当然、グリーン席は真っ先に埋まってしまいますが、時間に物を言わせてグリーン席を確保することができれば、かなりの安価で1時間ほど特急車両のグリーン車に乗ることができます。

さらに、「湘南ライナー」及び「おはようライナー新宿」、「ホームライナー小田原」号では他の列車が寝台列車を含めて殆どの列車が停車する横浜駅を通過します。そして、横浜駅停車列車に道をあけるために他の列車は通らない貨物線を通ります。これらの景色を楽しむことができます。

■ライナーを使って乗り鉄をするデメリット
・朝夜に遠くまで行くので、初電・終電を気にしなければいけません
ライナーは朝夜どちらかで乗ることができますが、通勤ラッシュの前にライナーの乗車駅に辿りつくのは無理があります。さらに、朝ラッシュの方が混雑率が高いので、ライナー券が埋まっていて骨折り損のくたびれもうけの可能性も考慮しなければなりませんのであまり現実的ではありません。

問題は出発が基本的に夜となりますので、あさっての方向に旅立つと終電までに戻れるかを気にしないといけないって問題がありますので、あんまり調子に乗って遠くまで行くことができないということです。この前ホームライナー小田原に乗ったときも終電のことを考えて、泣く泣く渋谷を出て最初の停車駅である藤沢で降りる羽目になってしまいました。

■対抗案「B特急自由席料金」
・B特急なら、昼間に乗って景色を楽しめる!
・自由席50km以下なら500円で乗れる。
ライナーの対抗案として「B特急自由席料金」が挙げられます。時刻表を見てみると50km以下なら自由席B特急料金でも500円で済むことがわかります。しかもこちらは昼間でも乗れるから動きやすいっていうメリットがあります。(自由席なので着席保障はありませんが、平日昼間ならまず座れると見ていいでしょう。)
さらに、東京近郊区間なら乗る駅と降りる駅までの最短距離で運賃を算出しますので、改札さえ出なければどんなに旅をしても130円で済みますので、乗車券の料金もあまり差はないと見ていいでしょう。(定期の場合は経由の指定があるから合法性については知らないけど、乗るだけなら乗れる。また、ライナーでも乗車券130円の手法は使用可能です。)

ただ、この手法では50km以上の遠距離を乗るためにはそれなりの料金を払わなければいけませんので、コストパフォーマンスに優れているとはいえなくなります。また、一定の区間を越えて乗車するとA特急料金として計算されてしまいますので注意する必要があります。

とりあえず、特急車両乗りつぶしという観点でB特急自由席とライナーのまとめ
◆ライナー
○終電さえ間に合うなら遠くまで乗ることができる(特に湘南ライナー1号は早い時間に始発駅を出るので遠くまで行ける。ただし、中央ライナーは営業距離が短いので B特急と同じと見たほうが良い。)
ライナー券さえ買えてしまえば絶対座れる
○まともに乗るとA特急料金持ってかれるSV踊り子とか、長距離用の急行能登の車両も乗れる。
○グリーン料金むっちゃ安い。(普通グリーン車より安い。)グリーン狩りに最適。
東海道貨物線とか、普段は見れない景色を見ることができる。
×乗車後に戻る場合は終電気にしなければいけない。
×朝のライナーは乗れないし(早起きして殴りこむのは無茶)、夜のライナーは景色が楽しみづらい

◆B特急自由席
○昼間に乗ると、景色が楽しめる。
○昼間の乗車なので、原則として終電とか気にしないでおっけい。
×どーせ50kmまでしか乗れねーよ。追加料金払わない限り遠くまでいけない
×グリーン車はコストパフォーマンスがイマイチ
×基本的に戻る必要あり。

以上を考慮したうえで、車両ごとに
◆B特急料金を払って乗りたい車両
E351系スーパーあずさ」普通車 お勧め度★★★★☆
この車両がライナーで運転されるのは、小田原駅を朝一番に出る「おはようライナー新宿22号」と、新宿駅を21:30に出る最終「ホームライナー小田原27号」の2回です。
この車両にライナーで乗ろうとすると、かなりの早朝か深夜に東海道線沿線にいることになりますので、初電または終電をめぐった時間との戦いを強いられます。
本来の中央東線での運用で、新宿〜八王子(50km以下)で比較的低リスクで乗ることができますので、こちらを狙った方が得策でしょう。
尚、自由席/指定席でまったく同じ座席を使用しているので、ライナー運用時に指定席車両を狙う意味もありません。

座席自体は形状が優れていたり、他の形式ではあまり見られない座席です。また、東日本では珍しい振り子式の車両なので、是非一度乗っておきたい所です。

ライナー運用されるこの車両を狙う場合、有効なのは「ムーンライトながら」に乗り継ぐ場合ですが、小田原からの自由席がなくなった現在、どちらにせよながらの指定券が必要になりますのでこの電車への投資は完全に「趣味のための投資」になりますので、あまり現実的ではありません。

・E257系「あずさ」「かいじ」普通車 お勧め度★★☆☆☆
E351系スーパーあずさ」同様、本来の中央東線での運用で、新宿〜八王子(50km以下)で比較的低リスクで乗ることができますが、ライナーでも比較的に早い時間帯に東京駅を出るので普通車に乗る場合、どちらをチョイスしてもあまり問題はありません。
長距離乗ってみたいならライナーを、中央線の景色を楽しみたいのならあずさをチョイスしましょう。尚、グリーン車に乗る場合はライナーをチョイスしたほうが安いので、あずさに乗る場合は普通車にしておいたほうが無難です。

ただし、E351系スーパーあずさ」程特筆する点がない上、「房総エクスプレス」と同形式ですので、積極的に選ぶ理由はあまりありません。

185系「踊り子」普通車 お勧め度★☆☆☆☆
「踊り子」「草津」「水上」「あかぎ」「ウィークエンドあかぎ」「おはようとちぎ」「ホームタウンとちぎ」「湘南ライナー」等様々なところで走っているので、かなり気軽に乗ることができます。
しかし、普通列車としても使えるように設計してあるので座席について特筆する点はなく、実際に普通列車としての運用もあるので積極的に選ぶ理由はあまり見当たりません。

◆ライナーで乗りたい車両
・489系「能登」 お勧め度★★★★★
本来の運用は急行なので、特急料金と比べると乗車券以外のエキストラチャージはかなり低額ですが、まともに乗ろうとすると終電間近の時間に上野駅を出ることになります。従って、高崎線沿線に住んでいる場合を除き、その日の内に戻るのは無理です。
また、本来の運用では深夜・早朝に走りますので、景色を楽しむこともできません。

また、ライナーとしての運用は比較的早い時間にも走っていますのでこちらが狙い目となります。
グリーン車が開放されていますので、早いもの勝ちでかなりの安価でグリーン車に乗ることができます。

車両そのものは、国鉄の雰囲気を色濃く残す、レトロな電車です。

・251系「スーパービュー踊り子」 お勧め度★★★★★
普通に乗ろうとすると、A特急料金がかかってしまう上、横浜→熱海はノンストップなので手軽な運用がありません。
また、人気列車なので自由席でも座れるとは限りません。
ホームライナーでは自慢のハイデッキからの眺めや、グリーン車の人的サービスは楽しめませんが、それでも普通車(カスタムユニット)、グリーン車(グリーンユニット)共に座席のすわり心地が良く、ここで出てくる車両郡の中では1,2を争う快適さです。

国鉄183系 お勧め度★★★☆☆
かつては房総特急を中心に走っていましたが、現在では房総エリアにもE257系「房総エクスプレス」が出現したため、見かける機会は少なくなりました。乗る機会といえば「中央ライナー」か臨時「ムーンライトながら」程度ですので、体験するだけなら「中央ライナー」が妥当でしょう。
座席は古い国鉄テイストを味わうことができます。

というわけで、急行能登グリーン車でも乗りたいなぁ。
それにしてもこの文章、原稿用紙12枚分。俺暇だなぁ。